2014年2月24日月曜日

今週のニューヨークは暖かく、もう冬が終わり春が訪れたんではないかと錯覚するほどだった。日中は街中を半袖で歩く人も見かけるくらいで、心地よい天気だ。が、やはりそれは錯覚だったらしい。今週は最高気温が氷点下の寒い天気になるようだ。。。

さて、今週の後半に、再びウォートンへ赴き、「Restructuring & Distressed Investing Conference」に参加してきた。立ち行かなくなった会社へ投資して再生させる、企業再生に関する会議だ。

前職やインターン先のファンドで再生案件を幾つか手掛けたことはあるものの、前回のPE&VCカンファレンスと比べると、知見が殆どない分野だ。スピーカーの会社を見ても、知っているものがあまり無い。

参加するか迷ったのだが、オペレーションと投資分野には今後関わることになる可能性があるし、勉強のために参加することを決めた。

実は寝坊して午前の部に参加できなかったのだが(笑)、午後の部で取ったメモを参考までに共有したいと思う。


キーノート:KPS Capital PartnersのファウンダーであるMichael Psaros氏。

他のパネルでぼそぼそと話すスピーカー達とは異なり、抑揚を付けて話す氏の話は、今回のカンファレンスの中で面白かった。

様々な数値を引用して、KPSのファンドが如何に成功しているか述べる中、Distress投資のポイントを3つ教えてくれた。それらは、

「他の人が見逃している会社の価値を見出すこと」
「適切な会社を買うこと」
「より良く会社を経営すること」

だ。何れもシンプルなメッセージだ。3つ目の経営については、当ファンドが1年に2件しか投資を実行していないことを述べた後、日々のオペレーションに関わることが如何に大変か説明してくれた。例として、投資後の勤務シフトが夜の12時から朝の7時になったことを挙げていた。こうすることで、実際の現場にいる人と関係を作り、そこから情報を得て、経営に生かすとのこと。

最後に、金融出身者が多いと思われる、参加していた学生に向けて以下のアドバイスをくれた。

「Do something, create value and make something.

これもシンプルだが、金融業界でアドバイザリー業務に従事していた僕を含む学生には、響くメッセージだったと思う。「エクセルモデルを回して、より効率的な資本構成に変えるだけでなく、本当の価値を生み出す仕事をしろ!」というアドバイスだ。


Distressed ヘッジファンドのパネル

ハイイールド債に投資しているファンドのパートナー や弁護士5名と、マッキンゼーで企業再生に関わるコンサルティングをしているパートナーのパネル。参考までにその4社のファンド名を挙げておくと、それぞれ、Greenbriar Asset Management、Owl Creek Asset Management、Aegon USA Investment Management、Miller Buckfire、Kirkland & Ellis LLPだ。僕は一つも知らなかった。。。

素人の僕からすると、専門的な内容が話されている印象で、理解できない部分もあった。話は昨今の業界の様相と、ヨーロッパや南米のマーケットだ。曰く、業界は過去12ヶ月間に盛り上がっているとのこと。どうやら、American AirlineやGMの破産・再生を通して、破産申請が増えているようだ。

「破産申請は、思っているほどシビアなものではない。」と言っているパートナーもいた。会社を経営している側からすればシビアであることは間違いないが、おそらく破産後に得られる支援を通した再生の側面を強調したかったのだろう。

南米については、興味はあるものの積極的に投資しているファンドは少ない様子で、破産後の法的措置が予測できない部分をリスクと感じているようだった。

ヨーロッパについては、拡大しているマーケットで且つアメリカと比較するとプレーヤーの洗練度が落ちるため、魅力的と言っていた。一方で、アメリカを拠点としていて、現地の情報が入りにくい環境にあるため、投資は控えているファンドが大半であった。


Operational Restructuringのパネル

Kodakの破綻に関するパネル。実際にその再生プロセスに関わったメンバーがパネリストだった。Alix Partners、Sullivan & Cromwell LLP、Lazard、Blackstoneと、今回は全て知っている会社であった。

Kodakの再生プロセスで苦労した点や、そのポイントを話していた。どうやらKodakは、約2,000億円と推測されるデジタルカメラの特許を有していて、それが再生の切り札になった模様。その他、退職者への健康保険コストをカットしたり、主要債権者の一つであった英国年金ファンドの説得等に苦労したとのことだった。

ポイントとしては、ステークホルダー全て(再生アドバイザーを含む)と常にコミュニケーションを取り続けることや、浮き沈みがあるが継続的に経営状況の改善に努めることを挙げてくれた。

パネリストが何れも外部アドバイザーのみだったからかもしれないが、オペレーションの泥臭い話ではなく、ステークホルダーとの契約を、交渉を通じてより望ましいものに変えるかということに力点が置かれていたように思う。


カンファレンスを通して思ったことは、自分がこの分野にそれほど興味を感じないことだった(笑)。おそらく、破綻した会社を相手にするためどちらかと言うと後ろ向きな仕事であること。それと、自分独自の感覚やアイデアを駆使してビジネスをするのではなく、契約交渉等がメインになるビジネスだからだろうか。何れにせよ、自分の興味を確認することができて良かった。


カンファレンス後は、友人とジムへ行き、昼寝をした後にChinese New Year Galaへ。少し前の中国の新年を祝うディナーパーティーだ。Galaというので、立派なホテルで行われると勝手に推測していたが、行ってみるとローカルなレストランであった。(笑)

が、逆に参加者と親近感を感じやすく、良かった。丸テーブルを10人程度で囲むスタイルで、全部で150名近く来ていただろうか。色々な出し物も披露され、料理も美味しく、賑やかで楽しい会だった。

実は、各テーブルに白酒や赤白ワインを始めとするボトルが幾つも置かれており、皆で大量のお酒を飲んだ。白酒はアルコール度数が56で、「皆でガソリンみたいだ。」と話していたのだが、2時間もするとボトルは空になっていた(笑)。

料理を食べ終わった後は、会場が暗くなりDJが登場。クラブに様変わりしたレストランで、ほろ酔い状態の中みんなで踊り、楽しいひとときを過ごした。



カンファレンス会場の外観と中の様子。NYのメンバーシップクラブのような、歴史を感じがらもメンテナンスが行き届いている素敵な会場だった。

ガソリンのような白酒。これを茶碗に少し注いで、皆で何度も一気飲みをした(笑)。

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