2014年5月27日火曜日

昨日イスラエルからNYへ帰ってきた。12時間に及びフライトに加えて、出発が深夜だったため、身体がヘトヘトだ。僕は機内で寝る事は出来るものの、長い時間熟睡することはなかなか出来ないので、いつも長期フライト後は疲れが溜まる。なので、昨日は午後に天気が良く美しかったセントラルパークへランニングをしに行き、リラックスした。


さて、Israel Tripだが、Japan Tripと甲乙付け難い位素晴らしいものだった。理由は幾つかあるが、イスラエルという国や人々からの学び、Coolな参加者、季節が夏でビーチ等でのんびりバカンス気分を楽しめた事等が挙げられる。イスラエルからの学びについては下記、詳しく記述しようと思う。


参加者について、トリップの前半は一部の以前からの知り合いのみと主に話すだけで全体とあまり打ち解けられなかった。が、後半、夜の飲みやパーティの時間を使って本領を発揮し、それからは皆ととても仲良くなれたと自負している。日本人としてしっかり存在感を示しておいた(笑)。地元のイスラエル人とも十分会話を楽しむことが出来たし、この点では満足だ。

特に仲良くなったのは、ドミニカ人のAやアメリカ人のJ嬢で、また来学期に再会するのがとても楽しみだ。Aについては、クラスで仲の良いレバノン人のSと友人であることをきっかけに話が盛り上がり、更に祖国で車のディーラーをしているらしく、色々と繋がりがあって興味深かった。ラテン仕込みのパーティでの盛り上げ方も学ぶべきことが多く(笑)、彼とはこれから長い付き合いになるだろう。


それでは、以下イスラエルからの学びについて、今思うことを書きたいと思う。


即興とダイレクトの文化

イスラエル人は即興の対応に非常に強い。トリップの間、大企業1社、スタートアップ2社、ベンチャーキャピタル1社、PE 1社、軍隊を訪問したのだが、何れのスピーカーも質問に対する受け答えが抜群に上手かった。数社については、話す内容を事前に考えていなかった模様だったが、学びの多い良いプレゼンであった。

そして、間接的に伝えようとするのではなく、全てをダイレクトに伝えてくる。慣れていないと無礼と思う位直接的なコミュニケーションをするようで、ヘブライ語には「Excuse me(すみませんに該当)」が無いと言われている位だ。直接的な議論をとても大切にしている印象も持った。

軍隊も含むあらゆる組織が限りなくフラットに設計されてもいた。官僚的組織の代名詞とも言える軍隊でさえ、部下が上司に議論でチャレンジすることは勿論、上司のパフォーマンスが悪いと部下数名で更迭できるとも聞いた。更に、国のトップである大統領でさえ、市民からはニックネームで呼ばれているらしい。権限の区分はある一方、不必要な上下関係は排除されているようだ。


一方、日本人は即興に非常に弱く、且つコミュニケーションも間接的な場合が多い。その意味でイスラエルとは真逆のカルチャーを持つ国というのが僕の印象だ。僕自身、即興でスピーチをしたり議論をするのはどちらかと言うと苦手で、おそらくこれは日本の教育内容から来るものだと思っている。

ちなみに、僕はこれをネガティブな意味で言っているのではない。他者との比較の上で、自分の強みや弱みを正確に把握し、それに合った分野で適切な戦略を選んで全力で戦えば良いと思っている。

例えば、入念な準備やテストを経てミスが限りなく少ないことが必要な分野や、長い間の信頼構築が必要な分野等は、日本人が世界でも戦っていける分野の例だと思う。(抽象的で恐縮ですが(汗))

もしかしたら、歴史的背景がこれに関係しているのかもしれない。イスラエルはご存知の通り、60数年前まで存在しておらず、四方八方をアラブの敵国に囲まれている。そのため、即座の決断や対応を求められる。効率を重視し、重要なことを直接的にコミュニケーションしていく。さもなければ、国が滅びてしまうからだ。

更に、エジプトから始まりホロコーストに至るまで、国を追われる立場にあったため、どんな環境にでも対応できるよう教育が施されているのだと思った。これは、次のポイントである軍隊への強制参加にも関わる。


軍隊への参加義務が持つ意味

イスラエル人は18歳から21歳まで、軍隊への参加が義務づけられている。性別等関係なく、全員だ。そして、様々なスピーカーが口々に言っていたのだが、そこで課される仕事がとても重いものらしい。要は国の存続に直に関わる仕事を、18歳そこそこの若者に任せるのだ。

従って、そこでの時間がその後のキャリアでも大きな意味を持つらしく、その重さと比べればスタートアップ等でのリスクは非常に小さいものだと語ってくれた。

軍隊へ訪問した際に対応してくれた、パイロットの将校はビデオを見せながら、日々のタスクを紹介してくれた。爆撃等のリアルな"戦争"をガザ地区を中心に、ほぼ毎日行っているらしく、その仕事の重さは話を聞くだけでも伝わってきた。

こうした特殊な環境での"実地訓練"を経て、イスラエル人は大学へ行き、働き始める。そもそも彼らの根底にある命の重みやリスクに対する感覚が、他国の普通の人とは違うと感じた。

そして、軍隊での仕事も防衛に直接関わるものから、テクノロジーに関わるものまである。一部のチームは秀才が集められるエリート軍団で、そこの卒業生は幾つもの著名なスタートアップを始めていると聞いた。


浅いスタートアップの歴史

聞いて驚いたのだが、イスラエルのスタートアップの歴史はまだ10年少しらしい。政府が号令をかけてVCやスタートアップを促進する政策を実施し、それから僅かの間に今の状況まで発展したみたいだ。

日本人になじみがあるとすれば、最近楽天が買収したViberや、GPS関連のSiri等だろうか。グローバルに展開しているテックスタートアップが幾つも生まれている。

ここまで短期間でスタートアップシーンが発展した理由を考えてみたのだが、上述した通り、
①リスクの感覚が異なり、そのためコミットメントの度合いが他国のスタートアップより深い 
②即興や議論のカルチャー、及びフラットな組織構成が、テックスタートアップのスピードに合っている 
③軍隊で研究している高度なテクノロジーを一般向けに上手く応用している 
といったところだろうか。

とにかく、僕はこれだけ短期間に人口僅か800万程度の小国がスタートアップで米国に次ぐ勢いで発展していることに感銘した。と同時に、彼らで出来るのだから、自分にも出来るのではないかという不思議な勇気(勘違い!?)ももらった。


他にもトリップ中、素晴らしいツアーガイドが複雑な歴史や国内や近隣諸国との関係等、元々あまり明るくなかった点について詳しく説明してくれたおかげで理解が深まり、とても勉強になった。

また、クラスメートであるイスラエル人のR嬢やジャパントリップに参加してくれたGを見ていて疑問に思っていた、「何故イスラエル人がここまで周りを気にせず、躊躇することなく質問をし、意見を述べるのか。」をよく理解できた。そもそもそれがイスラエルでは当たり前なのだ。

例外なく、全てのスピーカーが
「私は議論が好きなので、躊躇することなくいつでも質問をするように。」と言ってプレゼンを開始した。実際、彼らは質問を楽しんでいるようだった。勿論、英語については皆全く問題がなく、とても流暢であった。


以上、ざっと今思いつく僕にとっての学びを記載してみた。自分がスタートアップを志す予定のため、今回のトリップは自分のマインドセットを再考する意味で意義深いものであった。また、ユダヤ人が共有している歴史や彼らの文化にも深く触れることが出来、理解を深めることが出来た。コロンビアにも沢山のユダヤ人がいるので、彼らに以前より親近感が湧くことだろう。


今日はこの後友人と晩ご飯やバーベキューを楽しんだ後、明日東京へ飛ぶ。おそらく1ヶ月半程度の滞在となる見込みだが、PEでのインターンにフォーカスを置きつつ、スタートアップのアイデアも練り、以前からの友人と会い大いに語らいたいものだ。


日本語で言う嘆きの壁。敬虔なユダヤ人が会釈のような動作を繰り返しながら祈りを捧げていた。

奥に死海を臨むゴラン高原。政治的・軍事的・歴史的に大きな意味を持つ場所の一つだ。

テルアビブのビーチ。テルアビブについては、高級リゾート地の一面も持っており、のんびりしていてとても良い都市だ。昼はビーチで日焼けやサーフィンを楽しみ、夜はバーやクラブでナイトライフを楽しむ。英語も通じるし、しばらく住むのも有りだと思わせてくれる街であった。

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