2015年1月22日木曜日

NYは相変わらず厳しい寒さが続いている。酷い寒さと強い風で、耳が痛くなる日はあまりないのだが、それでも日が沈んでからの夜は寒い。

暫く投稿が滞っていたのは、新しく引っ越した先にインターネットをまだ引いていないからだ。家具は一通り揃えた一方、携帯電話でネットにアクセスしているため、Time Wernerへ行って手続きをするのが面倒なのだ。


さて、先週月曜から金曜までの5日間、朝から晩まで丸々使い、Lean Launchpadの授業を受講した。ビジネスアイデアを元にチームを組んで応募した授業だ。既に起業している同級生達から強く受講を勧められたため、取ることにした。

それを教えたのはSteve Blank氏だ。日本ではあまり馴染みが無いかもしれないが、世界中でベストセラーとなった「Lean Startup」の元の考えを生み出した人物だ。現在はアカデミアでも活動する一方、自身でこれまでに8社ものスタートアップを立ち上げ、内複数がホームランになったと言っていた。(彼が言うホームランというのは、上場した後、時価総額が1,000億円を超える規模になった会社のことだろう。)

本物のシリアルアントレプレナーだ。


この授業は他授業とは大きく異なり、講義は一日の内で僅か1時間半のみ。他は日々ビジネスモデルをどれだけ前に進めたかのプレゼンテーションに加えて、Get out of the building、つまり潜在顧客にひたすらインタビューしインサイトを得るというものだ。

一日10以上のインタビューをするというノルマが課せられた。B to Cのビジネスモデルであればまだしも、B to Bで顧客の多くが日本の会社である僕のビジネスは中々苦労したのだった。。。汗


この授業で彼がしきりに説いていたのは「Product - Market Fit」。つまり、自社の製品やサービスのValue Propositionと顧客のニーズが一致することだ。でなければ、どんなに製品が優れていても売れない。

そして、顧客が一体誰かを知り、彼らにどうやってアクセスするか。

最後に、そのビジネスモデルで"適切な"サイズの利益を生み出す会社を作れるか、だ。適切というのは、Founderによって目指すものが異なるため、複数名で会社設立する場合や投資家から資金調達する際は、その点を十二分に議論しておく必要があるとも言っていた。「経済的にどれ位のサイズを目指すのか?」を議論するということだ。でないと、例えば大企業からの買収提案が舞い込んだ際に、意見が食い違うことになってしまう。

他にも、彼の起業家人生の中での様々な教訓を、リアル感たっぷりに話してくれ、とても深い学びとなった。

一つ印象に残っているのは、彼が某著名VCから資金調達をし、会社を次のステージに進めるためにCEOを外部から招聘した時の話だろうか。外部の会計士/CFOの経験がある人物をVCが連れてきたらしいのだが、その際Steve含むFounder達は、そのVCの担当パートナーから以下を告げられたらしい。

「You are "just" founders.

意訳すると「君達は"単なる"創業者達だ。」となる。状況設定が異なるが、Steve Jobsもかの有名なStanford大学のCommencementで「How can you get fired from a company you started?」と述べているが、その心情に近いものがあるだろう。

この件以降、Steveは「Founderとしてビジネスをゼロから作ることがどういうことなのか理解していないVCからの出資は受けないことにした」と述べていた。著名VCにもそういうパートナーが居ることが、僕には驚きだった。


個人的に嬉しかったのは、彼からもらった僕のビジネスについてのフィードバックで、「新しい仕組みで、面白いね」と言ってもらえた。彼自身が同じ分野で以前起業したことがあるらしく、内容を理解してもらえたからだと思う。基本的に他チームも含めて、辛口のフィードバックが大半だったので、これは自信になった。

ビジネスを回す仕組みと対象セグメントを掛け合わせると、ユニークなビジネスモデルだと信じて、先学期に散々試行錯誤した末にたどり着いた形なので、嬉しさは尚更だった。


チームを組んだ国際関係学を学ぶ3名の仲間も、それぞれのネットワークを生かしてビジネスを前に進めるのに大いに貢献してくれた。大いに感謝だ。


授業期間中に新たな仕事も取れたし、今は目の前の仕事において最高の形で結果を出し、実績を積み上げることだろう。授業を通じて、将来的に協力してくれるだろう機関の方とも面談出来たし、いよいよ本格的にビジネスが動く段階に来た。

Steveから学んだ様々な教えを胸に、前進していくのみだ。



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